NO IMAGE
RENOBLO
リースバックとは?2021.10.14
自宅を売却し、まとまった資金を手に入れた後も、その自宅に住み続けることができるという「リースバック」。
近年CMなどで耳にする事も多いリースバックという言葉ですが、どのような仕組みなのでしょうか。また、リバースモーゲージとのとの違いや、メリット・デメリットについて解説いたします。
リースバックとは?その仕組について
リースバックとは、自宅を売却して現金化し、売却後も住み続けられるサービスです。
住み慣れた自宅で生活しながら、まとまった資金を調達することが可能です。
※利用しやすいのは、住宅ローンを完済している、または残債が少ない家。住宅ローンが残っている場合は抵当権を抹消したうえでの売却になるため、残債が売却価格を上回るケースではリースバックの利用は難しい。
こんな方にオススメ!
- 住宅ローンを完済し、安心して老後を送りたい
- 子供達に平等に財産を残したい
- 早めに相続対策をしておきたい
- 金融機関からの借入債務・返済の負担を減らしたい
- 短期間でまとまった資金を調達したい
- 定年退職後、年金暮らしで生活が不安
- 子供の学区変更による転校は避けたい
- 老後の生活費が足りない
- お金は必要だが、住み慣れた家から離れたくない
- 自宅を売却したいが、近所の目が気になる
- 滞納していた税金等を一括で返済したい
- 一人暮らし(独り身)なので、早めに資産を整理したい
- 急な病気で医療費がかさみ、生活費が足りない
よく似た「リバースモーゲージ」
リバースモーゲージとは、自宅に住み続けながら、その自宅を担保に老後資金を借りることができるという仕組みです。
住み続けている状態は同じですが、リースバックは「不動産会社等の所有になった住宅に家賃を払って住んでいる」、リバースモーゲージは「金融機関の担保に入っているが自分が所有している住宅に住んでいる」という違いがあります。
リースバックのメリット
リースバックを利用するメリットは売却することで住み慣れた自宅で暮らしながらまとまった現金が手に入ることです。
引っ越しも不要なうえに、住宅ローンや固定資産税の支払いもなくなります。
持ち家を担保にお金を借りるシニア向けのリバースモーゲージとは違って年齢制限がなく、土地付きの戸建てだけでなく、マンションも対象になる点でも利用しやすいといえます。
また、将来売った家を買い戻すこともできます。
リースバックのデメリット
売却によって一時的にまとまった資金を得ることはできますが、相場の6~8割で安く買われてしまいます。
売却によって自宅の所有権は失ってしまいます。
買い戻す場合に、売却した額より高い金額で買い戻すことになります。
また、賃貸期間に制限があるケースが多く、リースバックで売却した家に住み続けられる期間は限られる可能性があります。
リースバックのトラブル例
- 家賃を上げられた/家賃が払えない
- 無断で自宅を売却された
- 家の買い戻しを断られた/金額が高い
- 退去を求められた/賃貸契約を更新できない
- 相続人と揉める
1・家賃を上げられた/家賃が払えない
買取会社から、家賃の引き上げを請求されることもあるようです。
もともとリースバックにおける月々のリース料(家賃)は、買取額の7~10%と設定されることが多く周辺地域の相場より割高に設定されるケースが多いようです。
そこで、更に家賃を引き上げられると、家計に大きなダメージを与えることになるでしょう。
このようなトラブルを避けるために、契約前に売却価格と家賃のバランスが家計に対して適切かどうか、複数の運営会社で見積もり確認することが大切です。
リースバックの契約時に、「更新の際に家賃を上げることはしない」と口約束をしても、賃貸借契約の更新のタイミングに家賃の値上げを要求されるというのは珍しくないようです。
2・無断で自宅を売却された
リースバック契約の際に所有権を取得したリースバック業者が他の投資家などに売却する可能性があります。
結果として、新たな所有者に賃貸借契約の更新を断られたり、賃料の値上げをされるという可能性がでてきます。
リースバック契約においては、契約時に第三者への売却禁止を合意して、明記していない限り、賃貸借契約中に持ち主が変わる可能性は大いにありますので、必ず契約書に明記しておくことをオススメします。
3・家の買い戻しを断られた/金額が高い
将来的に売却した自宅の買い戻しを希望しても、リースバック業者や投資家に拒否されたり、高額な価格を提示されて、買い戻しができないというケースはよく起こります。
もともと、売却価格の1.1~1.3倍の価格設定なので、無計画に契約すると、買い戻しは非常に難しくなるでしょう。
そういったことから、将来的な買い戻しを見据えてリースバック契約を結んだのに、それが叶わず苦い思いをさせられるケースもあります。
買い戻しのトラブルを防ぐためには、売却契約や賃貸借契約と伏せて買い戻し条件を書面化しておくことが有効です。
4・退去を求められた/賃貸借契約を更新できない
リースバックは売却後も住み続けることができるのがメリットですが、賃貸借契約の内容によっては退去を求められる可能性があります。
その理由は、リースバックの多くは賃貸借期間が定められている「定期借家契約」となっており、契約期間が過ぎたら退去しないといけないからです。
定期借家契約とは、通常の賃貸借契約とは異なり、契約期間満了になると、再契約できないケースがあります。※貸主との合意があれば、再契約可。
退去に関するトラブルを避けるためにも、契約が普通借家契約であることを確認しましょう。
6・相続人と揉める
リースバックのメリットのひとつに、周りに知られずに売却を進めることができるという点がありますが、逆に言えば、自宅を相続しようとした相続人とトラブルになるケースがあります。
リースバックの利用条件に「推定相続人」の同意は不要なので、親族に許可を求める必要はありませんが、このような家族間のトラブルを防ぐために必ず事前にリースバックを使って売却予定であることを話しておきましょう。
同じように自宅を利用して資金調達する方法に、リバースモーゲージがありますが、、リバースモーゲージの場合には「推定相続人全員の承諾を得る必要がある」としている銀行がほとんどだそうです。
7・リースバック契約ができなかった
リースバックの申し込みをしたが、契約できなかったことでトラブルになることもあります。
リースバックの契約ができなかった理由の多くが、「買取額がローン残債を下回っている」ことです。
買取額が住宅ローンの残債を下回る場合、住宅ローンを完済することができず、住宅ローン融資先の金融機関の抵当権を外すことができないからです。
※抵当権とは、住宅ローンなどを借りるときに、購入する住宅の土地と建物に金融機関が設定する権利のことです。
リースバックの買取額に貯金を足しても住宅ローンを完済できない状態だと、抵当権を外すことができないため、リースバックの利用ができません。
リースバックを利用したい場合、リースバックの買取会社に査定依頼し、買取額と貯金を合わせて住宅ローンを完済することができるのか確認しましょう。
リースバックに失敗しないための3つの方法
ここまで、リースバックのメリット・デメリットをご紹介し、トラブル事例についてご説明しました。
では、そんなリースバックを失敗しないためにするべき対策をご紹介いたします。
- 解約期間と契約書をよく確認する
- 自宅の適正価格を知る(売却価格は妥当か)
- 買い戻し価格/買い戻しの条件はなにか
- 家が途中で売却される可能性はあるか
- 信頼できる買主・相談先を見つける
1・契約期間と契約書をよく確認する
まずは、「普通借家契約」か「定期借家契約」か、契約書をしっかり確認しましょう。
普通借家契約
普通借家契約は、一般的な賃貸借契約です。
一定の契約期間(2年が多い)を設定して更新する。
借主が住み続けることを希望している場合は、貸主からの一方的な解約や契約更新の拒絶はできず、家賃の値上げも含めて貸主側に正当事由が求められます。
定期借家契約
定期借家契約は、契約の更新をしない賃貸借契約です。
一定の期間が終了したら、借主は必ず明け渡しをしないといけません。
貸主と借主が合意すれば再契約か可能ですが、長く住み続けることを前提としたものとは言えないでしょう。
なお、契約終了時は、契約期間が一年以上ある場合は、貸主が契約終了の1年前から6ヶ月前までの間に、借主へ通知を行う必要があります。
契約期間については、口頭の説明だけではなく、目的にあった契約内容となっているかを契約書で確認しましょう。
2・自宅の適正価格を知る(売却価格は妥当か)
自宅に本来の価格がどのくらいなのか、リースバック契約での買取価格が、他の業者との比較や年間家賃とのバランスを踏まえて考えたときに妥当かどうかをチェックしておきましょう。
特に通常の売買価格については、1社だけではなく複数の会社に依頼して、査定してもらいましょう。
3・買い戻し価格/買い戻しの条件はなにか
家の買い戻しを検討している人は、買い戻し価格がいくらになるのかを事前に文書化しておきましょう。買い戻しができるという口約束だけでは、将来業者が買い戻しに応じない可能性があります。
リースバックにおける買い戻し条件は、「賃料を滞りなく支払うこと」「退去をしないこと」など、金額以外の条件が設定されることがあります。あらかじめ条件について確認しておきましょう。
4・家が途中で売却される可能性はあるか
リースバックでは買主が変わることによって賃料が値上げされるケースが稀にあります。
そういったトラブルを回避するためにも、第三者に売却しないという契約内容を書面化しておきましょう。
5・信頼できる買主・相談先を見つける
トラブルが起きるのは、買主である不動産会社の交渉姿勢に問題があったり、実績が少ない可能性もありす。
信頼できる買主や相談先を見つけるのは、リースバックの成功だけではなく、交渉成立に至るまでのストレスを減らすためにも重要なことです。
客観的で冷静な意見を言ってくれる専門家の意見を参考に、リースバックするしかないか判断してください。
相談する際は、リースバックをしたい理由や今抱えている不安などを具体的に伝えて、的確なアドバイスをもらいましょう。
まとめ
リースバックについてご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。
リースバックを検討する際に、「どうしても引っ越しをしたくない」「近所に知られたくない」という方以外にはあまりオススメできないところもありますので、普通に売却して違う物件に住むという選択肢も検討しておくと良いかもしれません。
リースバックで売却する場合と、普通に売却する場合の価格を調べて比較し、なにが一番良い方法かしっかり検討しましょう。