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森林率が7割の日本でなぜウッドショック!?2021.7.20

2021年3月頃からウッドショック(木材高騰)という言葉をよく耳にします。

ウッドショックはこの数十年の間に2回起きていて、今回が3回目なのです。

【第1次ウッドショック】

1990年代初頭、世界的な天然林保護活動をきっかけとして木材需給のひっ迫が発生したことです。

【第2次ウッドショック】

2006年にインドネシアの伐採制限が引き金となって生じた、合板等のひっ迫が発生したことです。

【第3次ウッドショック】

2021年3月頃から始まった木材価格の急上昇のよるパニックです。木材価格の急な価格上昇からプレカット工場などの受注制限が起こり、各種木材の入手が困難になった状態になったことです。

これは世界的規模で新型コロナウイルスの感染拡大が続く今、世界中で建築需要が高まっています。

各国が金融緩和策を講じていることも背景にあります。

このウッドショックとは、主に木造住宅などで使用される柱や梁用の木材の供給がひっ迫し、価格の高騰によって現状の想定価格では住宅が建設できなくなるといった事を示す言葉です。

しかし、日本という国は森林率が約7割という森林面積が多い国。いわゆる木材資源大国です。

ではなぜそんな日本でウッドショックが起こるのでしょうか。今回の記事ではウッドショックについて解説いたします。

価格高騰の背景

・アメリカの木材市況の高騰

アメリカでは在宅時間の増加によって都心の集合住宅から郊外の一戸建てに移住する人が相次ぎ、住宅市場が好調に推移しています。それに伴って木材の価格が上昇しているのです。

コロナ対策として米政策金利を実質ゼロに誘導する政策が住宅ローン金利を引き下げたことで、着工件数の増加に拍車がかかりました。

・ヨーロッパ諸国の木材需要拡大

世界的な木材建築需要の高まりもあり、ヨーロッパでも木材需要が高まっています。CLT構法などを活用しての木造建築の建設が増えています。コンテナ不足によってヨーロッパからの集成材が日本に入ってこないという状況が表面化しています。

・中国の景気回復

中国の木材需要も増加しています。中国の木材需要については、アメリカ以上に今後の木材市場にに大きな影響を及ぼすと考えられます。

中国は産業用丸太の世界最大の輸入国で、2018年には世界の産業用丸太の43%を輸入していました。

コンテナ不足の大きな要因が、いち早くコロナ禍から脱出した中国がコンテナを買い集めていることにあるとも言われています。

新型コロナウイルス蔓延を防止するために、輸送コンテナの取り扱いが減少しているのも、木材の価格高騰の背景にあります。

こういったことから、日本向けの輸入材と原木の供給量が大きく減ったことが大きな原因です。

なぜ国土の7割もの森林がありながら海外からの輸入に頼るのか

現在日本は木材の自給率が4割弱程度で、6割強を海外からの輸入材に頼っています。

1960年代以降に高度経済成長期に突入した日本経済は、宅地開発によって急激に木材需要が拡大し、国内の生産量だけでは間に合わなくなったことが背景にあります。

日本の森林は戦時中にかなり伐採され、戦後も住宅需要がひっ迫したことでさらに伐採されました。

木材は植林してから市場にで回るまで30年~50年のスパンが必要となるので、いったん急激に伐採が行われるとすぐには回復できなくなります。そういった事から、徐々に海外の安価な輸入材に頼るようになり、国内の森林が回復する前に林業従事者の高齢化が進み、山林から計画的に樹木を伐採して木材に加工し、消費地へ輸送するという、国内の木材流通ネットワークに衰えが見え始め、現状にいたります。

解決策

日本国内の山林は約7割を占めており、天然林と人工林だけで約76億立方メートルもの木材資源がある計算です。

この数字からみてもわかる木材資源大国である日本で、海外からの輸入木材に頼らざるを得ないのは、日本の林業における深刻な労働力不足があります。林業従事者の高齢化が進んで林業に携わる人材が不足し始めたことで、木材自給率の低下が始まったともいえるため、ウッドショックを解決する方法は労働力不足の解消にあるのです。

林野庁の調査によると、1980年に約14.6万人だった林業従事者数は、2015年には約4.5万人と35年で7割減という状態になっています。また、林業従事者の高齢化率(65歳以上の割合)は25%で、全産業平均13%の2倍にも及びます。

そこで、国は2009年には農林省が「森林・林業再生プラン」を策定し、10年をめどに木材自給率を50%まで引き上げるという目標を掲げて事業推進しました。

現在自給率は30%台で推移しており目標の50%には達していないが、わずかながら上昇する傾向にあります。

このウッドショックを契機として木材価格の高騰が常態化する可能性も取り沙汰されており、長期的に見て住宅価格にも大きな影響が出てくることは避けられません。

よって、自給率を上げるため林業に携わる従事者を育成し徐々に増やし、林業の拡充と収益の確保が可能となって初めて、ウッドショックから開放されることとなるのではないでしょうか。

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