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旧耐震基準と新耐震基準の違いについて。2021.6.22
耐震基準の「旧」と「新」とは何が違うのでしょうか?
地震の多い日本です。物件の購入にしろ賃貸物件を探すにしろ、耐震性能について気になるところです。
今回は旧耐震基準と新耐震基準の違いや、耐震性について解説いたします。
耐震基準とは
耐震基準は、地震動の揺れに対し建物が倒壊・崩壊せずに耐えることができる性能を、建築基準法において規定するものです。
建築に関する最初の法律は、市街地建築物法です。
1919年に制定されましたが、木造のみの基準でした。
1923年(大正12年)9月の関東大震災を経て、1924年(大正13年)に改正され、耐震基準が加わりました。
その後、1950年に市街地建築物法は廃止となり、同年に建築基準法が制定され、旧耐震基準ができました。
旧耐震基準
旧耐震基準とは、建築物の設計において適用される地震に耐えることのできる構造の基準で、1981年(昭和56年)5月31日までの建築確認において適用されていた基準をいいます。
中規模の地震動(震度5強程度)の揺れでも建物が倒壊・崩壊せず、破損したとしても補修することで生活が可能な構造基準として設定されていました。
したがって、震度5強よりも大きい大規模地震(震度6強~7程度)は想定されておらず、大規模地震に対する耐震技術の開発も追いついていませんでした。
新耐震基準
新耐震基準とは、1981年6月から施行され、
・中規模の地震動(震度5強程度)の揺れでも建物がほとんど損傷しない
・大規模の地震動(震度6強~7程度)の揺れでも、建物が倒壊・崩壊しない(多少の損傷は許容)
という構造基準として設定されています。
耐震基準の改正は、2000年6月に建築基準法の改正が行われ、より厳しい耐震基準となりました。
特に木造建築物に対する構造の規定が強化されました。
大きな変更点は、
・地盤に応じた基礎の設計
地耐力が十分でないと住宅の重みを支えきれず建物が不揃いに沈む不同沈下が起きます。
不同沈下は地盤の状態を考えずに行われることが原因であり、家を新築する前にその地耐力を調べることを義務付けました。
もしも地盤が弱いことが判明した際には、地盤改良工事などが必要になります。また、施工会社は引き渡しから10年間に不同沈下が生じた場合、無償で修復する義務を負います。
・接合部に金具取り付け
木造住宅の柱の柱頭・柱脚(頭や根本部分)、筋交いの端部をそれぞれしっかり固定できるように、筋交いのサイズや部位によって固定する金物が指定されました。
・偏りのない耐力壁の配置など、新耐震基準をより強化するバランスの良い家づくりを義務化
耐力壁の量を増やしたり、接合部を強化するだけでは家全体でみたときに強度が立体的に偏った建物となってしまいます。
阪神・淡路大震災ではこのようなバランスの悪い偏った配置をした住宅が捻れて倒壊する例が少なくありませんでした。
そこでバランス計算を義務化し、偏りの度合いを示す「偏心率」という定量的な指標を定めました。
壁の質・量、そしてその配置(バランス)まで考慮することで、家全体で耐震性を増す基準が2000年基準なのです。
まとめ
地震などの災害が起こる度にその基準は改正されています。
今後もより安全な住宅を建築するように基準が改正されていくでしょう。
十数年前に建てられた実家をリフォームして活用する場合など、しっかり耐震性を確認することをオススメします。